不惑を迎えて、この片隅の地にやってきた。良いとも悪いとも、うまく言えない。
ある日、島をゆっくりと走っていると、後ろ姿のとても美しい女の子がいた。
彼女はゆっくりと道端のベンチに歩み寄り、ごく自然に横になった。両手を組んで頭の後ろに枕にして、まわりの目など気にするそぶりもない。通行人たちも、「当然あるべき」驚きを見せることなく、それぞれの用事を続けていた。
揺れる木の葉のあいだから、陽光がこぼれ落ちてくる。頬をなでるような風が吹いた。走り過ぎたあとも、つい振り返ってしまい、足元がふっと空いて、もう少しで転ぶところだった。
またある日、走っていると教会の近くまで来た。風のなかに、歌声が聞こえてきた。
声を頼りに探していくと、若い男女が何人か、そこに座って演奏し歌っていた。一曲歌い終わるたびに、まばらな拍手が起きた。ときどき、口笛まじりに。
その澄んだ歌声に、走ったあとの荒い息がすうっと静まっていった。一言も聞き取れないまま。
教会のある小高い丘の上に立って、下を見渡すと、
みんな、どこか半拍遅い。週末とは、きっとそういうものなのだろう。
真冬の週末、子どもを連れて屋外のスケートリンクへ行った。子どもたちは汗をかくほど遊んでいたが、寒風のなかで震えていた私は、近くの図書館に逃げ込んだ。
同じく子どもを連れてスケートに来ていた二人のお母さんも、そこで休んでいた。軽く挨拶をしてから、私はうつむいてスマートフォンをいじり始めた。
いつの間にか、一人のホームレスが入ってきて、近くの段に腰を下ろし、そのうちの一人のお母さんと話し始めた。
どこかで何かに触れてしまったのか、その大の男が、突然わあわあと泣き出した。
二人のお母さんも、しばらくどうしていいかわからず、袋からバナナを一本取り出して、そっと差し出した。ホームレスは泣きながら、手を振って断った。
三人は、ただ無言のまま、そこに座っていた。
私は外に出た。広場では、ホームレスたちがもう長い列を作って、教会からの食事の配給を待っていた。