マラガの地中海沿岸に連なる小さな町々は、道ばたで風に揺れるヒナギクの一輪一輪のように、ひっそりと、争わず、求めず、そこにある。
なぜそんなふうに感じるのか、うまく言えない。ただ、旅の途中でも、旅を終えたあとでも、それはいつもそこにある。
空港を出ると、空はもう暗かった。
ホテルに着き、バルコニーの掃き出し窓を開けると、波の音がいっせいに流れ込んできた。
翌朝もまた、波の音のなかで目を覚ます。
バルコニーに立つと、地中海が一望のもとに、空の際まで広がっていた。
北欧の長い暗がりのなかで抑えつけていた感情も、少しずつほどけていく。
ホテルはマラガ空港の南、ベナルマデナにある。観光のかき入れ時ではないのに、浜辺にはまばらに旅行者がいて、歩いては立ち止まっていた。
近くに少し高くなった場所があり、人々はそこで足を止める。
海から微かな風が吹いてきて、水面がやわらかく上下する。
雲はとても低く、とてもゆっくりだった。
夕日が少しずつ落ちていき、光が海面に広がっていく。
あたりが、しだいに暗くなっていった。
黄昏が、ゆっくりと落ちていく
車で最初に着いた小さな町は、ミハスだった。
まず目に入ったのは、ロバが車を引き、旅行者を乗せて、路地のあいだをゆっくりと進んでいく姿だった。
展望台まで歩いていき、目を上げて見渡すと、
アンダルシア風の白い家々が、山の中腹に点々と散らばっていた。
日の光が雲のあいだから落ちてきて、光と影がゆるやかに動いていく。
人も、しだいに静かになっていった。
点々と連なり · 光と影が流れる
数日とどまったあと、車で七十キロあまり離れたネルハへ向かう。
ここはもっと小さく、もっと静かだった。
ホテルは海に臨んで立ち、波の音はさらに近く、ほとんど隔てるものがなかった。
「ヨーロッパのバルコニー」は、海へとわずかに突き出した岩の上につくられた展望地だ。
そこに立つと、視界がそっと持ち上げられ、海面が広がり、色もいっそう澄んでいた。
ヨーロッパのバルコニー · ゼリーのような青
それから、近くのフリヒリアナへ行った。
町は山あいのくぼみに隠れ、白い家々が山の起伏に沿って一層また一層と広がっていた。
石畳の小道をゆっくりと歩いていく。道は曲がり、いくらかの起伏もある。
軒の下、塀の角に、ときおり花が咲いていた。
冬のあいだ、花はまだそれほど盛んには咲いていないが、
風のなかの一点の赤だけが、ひときわ目を引いた。
風のなかの、一点の赤
休暇も終わりに近づき、また近くのアルムニェカルへ行った。
ここまで来て、人もようやく少しずつほどけていった。
小さな町は、とても静かだった。
海の水は澄み、近くの山も静まっている。
街の通りや路地を歩いてみたり、山あいの小道をゆっくり上っていったりするうちに、
人も少しずつ、そのなかに溶け込んでいく。
砂浜に座り、陽を浴び、目を閉じて、
波の音が寄せては、また退いていくのに、ただ身をまかせる。
山も、静まっている