ホテルはグラン・カナリア島の南端にあり、大西洋に正面から向き合っている。
元旦の前後だというのに、天気はまるで真夏のようだった。
朝、目を覚まし、海辺をゆっくりと歩いていく。一つ角を曲がると、日の出の見える砂浜に出た。
朝の大西洋は、まだ眠りから覚めていないようだった。空の際は淡く黄ばみ、海面はひっそりと静まっている。
素足で、細かくやわらかい砂を踏む。少し冷たい。
ほかにも早起きの人が数人、互いに遠く離れて、それぞれに立っていた。水平線の上の人影は、とても小さく見える。
遠くを眺めると、波がゆっくりと寄せては返し、ときおり、ズボンの裾を濡らした。
ふと我に返ると、淡い黄色だった空の際が、少しずつ明るくなっていた。
太陽もゆっくりと昇り、いくらもしないうちに、もう海面を離れていた。
一羽の海鳥が、海面すれすれを低くかすめていく。
波の音も、さっきより少し大きくなったようだった。
戻る道すがら、ホテルの前の通りでは、もう走っている人がいた。